それは、ある花の物語。
咲ききることなく、ふと風にゆれるように
その時を終えようとする花があった。
枯れていくことは、
ただの終わりではなく
記憶と想いが静かに宿る美しさの形。
花びらのしずく、葉の翳り、
どれもがひとつの時間を語っている。
十六夜の月のように、
満ちきらないことにこそ宿る、
深い光。「十六夜の庭」は
植物たちが歩んだ命の余韻を
そっと閉じこめたハーバリウムを
届けています。
今日のあなたへ
そして、明日のあなたへ。
たとえ色褪せても
その花はきっと、
あなたのそばで咲きつづけます。
朽ちてなお、美しくあれ。
十六夜の庭
Kyoko otani